[Featured Column] Ray Chi: Innocence

By YONEHARA YASUMASA 2023-05

今や誰もが溢れる情報から逃れることはできない。

2013年北京で彼の作品を見た時、そんな漠然とした気分が確信に変わった。気づいたらもう10年も経つのか。中国のアートのこととか全くノーチェックだった僕の脳みそに、まるで雷が直撃したような衝撃だった。作品に使われるモチーフや色彩感覚はもちろん、材料、そしてその使い方も僕の趣味にピッタシなのだ。あれ、もしかしたらこのアーティストとは同じ話題で盛り上がれるかも、ってそう思った。どんな音楽聴いてきた? どんな映画見てきたの? って聞きたくなった。音楽やファッションが世界を同時代として体験できる21世紀、何を聴いてきたとか、何を着てきたなんてことが評価の対象になるはずもない。なっているならそんなことで人を評価するやつらに囲まれている自分のポンコツさ加減を嘆いた方がいい。情報を多く持っていることは才能ではないのだ。問題は(アーティストに必要なのは)その情報をどう自分自身として受け止め、発信するか、なのだ。僕はそれを編集作業と呼ぶ。何をインプットし、それをアウトプットするか?アーティストの技術とはそのアウトプットを正しく受け手に見せる作業である。その結果作品がウケて価格がアップしていくのは大歓迎。時代を勝手に編集しリメイクする。しかしそのリメイクはきちんと今という時代を反映させたものでなければならない。自分は今そんな時代の中でどこにいるのか? それをはっきりさせなければならない。すごいよ。君は完璧だ。君が嫌でも僕は君のことを仲間と呼ぶよ。

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